当事者に上場会社が存在する場合の基本合意書の取り扱い方法(2)
こんにちは、クラリスキャピタルです。
以前の記事にて、意向表明書や基本合意書について書いてきました。
意向表明書(LOI)とは
意向表明書提出にあったっての注意事項
基本合意書(MOU)とは
(弊社ブログの「人気の投稿」に意向表明書関連記事がよくでてくるので、どうしてだろうとgoogleで「意向表明書」を検索しますと、弊社ブログ記事が3,4位で掲載順位を占めており、びっくりいたしました。
記事の中でも特に「意向表明書提出にあったっての注意事項」では、通常のM&A関連の書籍には載ってないような、M&Aアドバイザーとしての現場経験からの弊社独自の見解を展開しております。内容については読者の方の責任でご判断いただきますようお願いいたします)
さて、意向表明書の後に交わす(ことが多い)基本合意書ですが、この当事者に上場会社が入る場合には、多くの場合には上場企業のご意向で基本合意書をかわしません。
というのは基本合意書を交わすことで、上場会社はこれについて適時開示をしないといけないことが懸念されるからです。
適時開示は会社法などで定められたものではなく、証券取引所が上場会社に義務付けている「重要な会社情報の開示」です。
基本合意書の取り交わしが適時開示義務に該当するかどうかですが(上場会社にとって小規模な重要性がないと思われる案件であれば該当しないのか、基本合意書の文面で法的拘束力がない旨や必要な意思決定機関の意思決定を経たものではないとことを明記すれば適時開示にあたらないのか等の視点から)、規模がどうであれ、書面の文言がどうであれ、基本合意書を交わしたら、適時開示はデフォルトとして考える、というのが、上場会社が当事者にいるときのM&A現場での判断であるように感じます。
基本合意書を交わしたことについての適時開示を避けたいのは、適時開示によりその案件の存在や当事者が広く世間に知れわたることを避けたいためです。
いずれ、クロージングすればそのときの適時開示により世にでることですが、基本合意を交わしたような段階では、その後ブレイクすることも十分ありうることで、不確定な状況の情報をだしたくないという理由もあるでしょう。
また、適時開示によって、当該案件へ外部からの影響・反応がでてくることも考えられ、これがその後、話を進めるのに障害になることも懸念されます。
そのため、上場会社が当事者にいる場合には、上場会社の判断により、基本合意は交わさないことがほとんどです。
次回につづきます。