当事者に上場会社が存在する場合の基本合意書の取り扱い方法(2)
こんにちは、クラリスキャピタルです。
今回は前回の記事、基本合意書と適時開示(1)の続きです。
上場会社が当事者にいる場合には、上場会社の判断により、基本合意は交わさないことがほとんどであると書きました。
しかし、基本合意書をかわさないとき、買主候補は、基本合意書をかわす最大のメリット、つまり独占交渉権を得ることができなくなってしまいます。
このとき、独占交渉権獲得をあきらめるしかないのでしょうか。
または、口約束で独占交渉権をもらうしかないのでしょうか。
そこで、基本合意請書(タイトルは何でもいいのですが)の登場です。
これは何かというと、売主から独占交渉付与先が決まった買主候補に対してお渡しする書面で、例えば下記のような内容が記載されます。
・意向表明書を出してくれてありがとうございます。
・当社はこういう条件で売却したいと思っています。
・いついつまでの期間はあなたに独占交渉を付与します。
・この請書は法的拘束力も合意を形成する意図もありません。
基本合意をかわさないことになっているが、口約束の独占交渉権付与は不安だ、というときには、買主候補の要請でこのような書面を売主からお出しいただくことも一つの方法でしょう。
法的拘束力がないので、こういった書面をだしても意味がないとなるかもしれませんが、それは基本合意書でも一緒ですし、あとで、“独占交渉権を付与すると言った・言わない”などで揉めて信頼関係が崩れたりするよりは、こういった書面を出して進めるほうが丁寧かと思います。
※このような意向表明請書の提出や受取が上場会社において適時開示義務にあたらないことをクラリスキャピタルが保証するものではございませんので、読者の皆様の責任とご判断で行っていただきますようお願いいたします。