M&A実行時の注意点について、独占禁止法の観点からご説明
こんにちは、M&A仲介・アドバイザリー会社のクラリスキャピタルです。
企業結合(大まかにいうとM&A全般)により一定の分野における競争を実質的に制限されることになる場合には独占禁止法によって、企業結合が禁止されます。
一定の要件に該当する企業結合を行う場合,公正取引委員会に届出・報告しなければなりません。
会社は,企業結合の届出受理の日から30日を経過するまでは,企業結合をしてはならないことになっています。(ただし、公正取引委員会は,その必要があると認める場合には,30日間の株式取得の禁止期間を短縮することができる。)
事前の届出が必要な場合には、M&A全体のスケジュールにも関わるので注意が必要です。つまり、M&Aの取引をしたい日が特定の日に予定している場合、その30日より前に届出が必要となります。
届出が必要とされる「一定の要件」ですが、
大まかに言いますと、
・買主サイドの会社グループ全体で売上高200億円を超える
・売主サイド(対象会社)の会社グループ全体で売上高50億円を超える
ときに事前に届出をする必要があります。
(詳細は公正取引委員会HPの「届出制度」をご参照ください。)
独占禁止法というと超大手企業の話かと思うのですが、このように「一定の要件」の売上高の規模がそれほど大きくなく、中堅中小規模のM&A案件でも、届出が必要となることが意外と多いので、「一定の要件」に該当するのに、届出を忘れていた、または後で気づいてスケジュールを延ばさざるを得ない、ということがないように注意が必要です。
届出後、審査の上、企業結合により一定の分野における競争を実質的に制限されることになる場合には企業結合が禁止されます。
審査については公正取引委員会HP「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の一番下のほうに記載されているの「企業結合審査のフローチャート」をご参照ください。
審査においては、市場シェア、HHIが判断の指標とされていることがわかります。
HHIとはハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス(Herfindahl-Hirschman Index)のことで、ある産業の市場における企業の競争状態を表す指標の一つで、寡占度指数とも呼ばれるそうです(Wikipediaより)。
HHIの計算式については公正取引員会の「用語の解説」における「3 ハーフィンダール・ハーシュマン指数」をご参照ください。