【株式持分比率】買収側・売却側の留意点
こんにちは、クラリスキャピタルです。
株式譲渡の手続について先日みましたが、今回は株式持分比率について見ていきたいと思います。
買収側の視点における株式持分比率について
買収側としては、M&Aにおいて、どれぐらいの比率を取得するか、目指すかを事前にポリシーを決めておくのが通常です。
【議決権の過半数未満】
通常、M&Aではあまり行われません。段階的なM&Aとして、まずは緩やかな業務資本提携からはじめて、シナジーなどを見極めたうえで、マジョリティを取る、ということはたまにあります。しかし、この場合、追加で持分比率を高めたいときに、対象会社の状況やお相手の希望、交渉の結果などによって、追加取得が叶わないリスクもあります。
【議決権の過半数以上】
会社の意思決定機関である株主総会である程度の重要なことを決定する普通決議の決議要件である議決権の過半数以上の株式取得を最低限は目指すことが多いです。
【議決権の3分の2以上】
株主総会 普通決議よりも重要なことを決定する株主総会特別決議において意思決定できるためには、特別決議の決議要件である議決権の3分の2以上の株式取得を目指すことになります。
【議決権の4分の3以上】
株主総会特別決議より、更に重要なことを決定できるようにとなれば、会社法309条4項の特別特殊決議の決議要件である総株主の議決権の4分の3以上を目指すことになります。
【議決権のすべて(100%)】
少数株主が残る場合には少数株主に会社法上定められた少数株主権があるため、完全に会社を支配したいという場合には100%の取得を目指すことになります。
売却側の視点における株式持分比率について
売却側としては、株主が分散していると、M&Aの成就が難しくなります。
なぜなら、買収側も通常は上記のようにまとまった株式取得を望みますし、個々の株主とそれぞれ価格を交渉したりするのは、双方に手間がかかり、M&Aが成就しないリスクが高まるからです。
そのため、M&Aを考えているが、株式が分散しているという場合には、可能であれば株式を事前にご自身にまとめたほうがよいでしょう。株式の買い取り資金の問題がある場合には、事前に他の株主が売却の意思があるか等の意向をそれとなく確認したり、可能であれば、一緒に譲渡することについての了解をとるのがよいでしょう。