リラクゼーションサロンを出店して1千万円くらい損した話

こんにちは、クラリスキャピタル代表の牧野です。

今回は7年前に弊社がリラクゼーションサロンを出店して1千万円くらい損した話です。

弊社は2014年5月に設立し、設立と同タイミングくらいで板橋区十条にリラクゼーションサロンを出店しました。

なぜリラクゼーションサロンを出店したか?

弊社はM&A仲介業が本業なわけですが、完全成功報酬の料金体系です。
M&Aが成就しない限りは売上は発生しませんので、ストックビジネスではなく、フロービジネスです。
設立したばかりの会社に会社売却のご依頼なんてくることはないだろう、早くて半年から1年はご相談がくるまでかかると考えました。

そのような先行き不安から経営安定のために何かビジネスを組み合わせる必要があると思いました。
それでは何の事業をするか?
同じM&Aアドバイザーをしていた前職で色々な業種をみてきて、ストックビジネスではないが、日銭が稼げる店舗ビジネスがそのときはよいように思っていました。また、信頼できると感じたFC本部もありました。

店舗オープンから毎月100万円の赤字

そして、2014年5月店舗オープン。

店舗運営、スタッフの採用など、FC本部、店長に任せておけるような体制ができていました。

しかし、肝心のお客さんが入らない。
家賃は駅前で高い、空中階でそれも5階とか6階のビルの最上階でした(何階だったか忘れました…)。

固定費が高く、固定費に見合うお客様がこないので、オープンしてから毎月100万円のキャッシュアウトが発生しました。

これがトントンになっても、初期投資の回収に何年かかるかわかったものではありません。
色々と施策を講じたとしてトントンになるのも早くてあと半年はかかり10月下旬、つまり出店してからわずか半年で店舗を閉店することを決意しました。

オープンから6か月で閉店

そこから、店舗スタッフの方に謝って10月末に急遽閉店しました。
家賃の支払いは解約が6か月前告知だったので、それから営業せずに家賃だけ半年払い続けました。

こういった初期投資、店舗を開けていた時のキャッシュアウト、閉店してからの家賃、原状回復費用などトータルで1千万円以上の損となりました。

一方、M&A仲介業のほうは2014年5月設立と同時にコーポレートサイトもオープンしましたが、オープン当月からお問い合わせが入り、意外にもスムーズに事業が立ち上がりました。

リラクゼーションサロンの失敗の要因は?

失敗した当時の失敗の原因は「知らないビジネスをやったことがいけなかった。経験があり、業界をよく知っている(=得意な)M&A仲介業に注力すべきであった」と結論づけていました。

そう結論づけてからはこの失敗を特に振り返ることなく、「得意なことに注力すべき」と今まで単純に考えていました。

そして、このブログ記事を書くにあたり、このリラクゼーションサロンの失敗について考えたのですが、改めて思う失敗の要因は「得意なことではなかったから」ではなく、M&A仲介業がうまくいったのも「たまたま」であり、そのときの時期がよかったから、業界がのびていたから、だと思います。

こまごまとした理由はたくさんありますが、一番の失敗の要因は

「店舗ビジネスは出店場所で勝ち負けが決まると思うが、出店場所についてFC本部にまかせきりで自らの市場分析、出店エリア分析をおろそかにした」

ことだと思います。

場所と家賃水準がうまくかみ合っていれば、黒字運営も可能だったかと思います。
リラクゼーションサロンとしては特徴はなく、安いを売りにしていたので、足を運んでもらってきてもらうタイプのものではないので、立地が命だったかと思います。

と書くと、店舗ビジネスでは至極当然のことかと思いますし、出店場所で決まる、というのはその当時もわかっていたのですが、FC本部の「立地を見る神がかった鑑識眼」を信じ切ってしまっていたんですね…。いや、信じて自分で考えていないのが悪いのですが…。

次に大きいのは「業界分析を怠った」ことで、他のビジネスも視野にいれるべきでした。

失敗から7年が経ち、いま思うこと

こういった失敗話は積極的にしたくないものであり、また自分としても1千万円の損は痛くて、忘れたい出来事となっており、その失敗からたいした教訓をえることなく、単なる話のネタにしていつのまにか7年がたち、弊社は設立から8年目を迎えました。

ビジネスの観点から1千万円の投資はそれほど大きくない規模の投資です。しかし、会社設立したてで、むしろ経営の手助けになればくらいに思っていた事業で1千万円の損失は当時はとても痛かった。私の虎の子マネーが半年で無くなり、絶望的な気持ちでした。

開店したあとは宣伝に自分のSNSでも店舗について発信していましたが、閉店については恥ずかしくて何も書けなくてひっそり閉店。

それからしばらくたち、7年たった今となっては思い出しもしませんでしたが、こうしてブログを書いていると、当時を思い出して後悔・反省でもやもやしております。

そして、「高い勉強代だった」といえるほどそこから自分でよく考えて教訓を得ることなく、自信を喪失し、「ビジネス投資が怖い」となって、保守的・消極的な姿勢に落ち着いて今に至るように思います。

と書いて、なんて自分はだめなんだろう、ブログのネタにしかできないのか、と自己嫌悪に陥っています。
…が、明日になったらこの失敗を忘れて「ぼや~」っと生きてそうな自分がいます。