M&Aにおける事業評価について

若葉と木漏れ日こんにちは、クラリスキャピタルです。

今回はM&Aにおける株式や事業の評価について、つまり、だいたいいくらくらいで売れるかについて、現場感覚に即してお話ししたいと思います。

企業価値の評価にはDCF法ですとか、類似会社比較法などございます。
ですが、中堅中小規模のM&Aでは、こちらで評価することはあまり多くないというのが、実感です。
DCF法は将来の予測収益をもとにして算定しているもので、仮定によって
数値のぶれが大きいですし、市場価格を参考にする類似会社比較法は
中堅中小規模M&A案件においてはデータ収集に困難なことが多いためです。

現場でよくなされる評価方法は下記の通りです。

<株式譲渡>

株式譲渡価格(全株式売却想定)=時価純資産実質営業利益2~3年分

<事業譲渡>

事業譲渡価格=譲渡対象有形固定資産の時価当該事業の実質営業利益2~3年分

特段の理論的根拠があるわけではありませんが、清算価値(事業をやめて、資産を現金化し、負債などを返して、賞味の手元にのこるもの)にのれん(営業権)を加えたのものが譲渡価格というロジックです。
売却側としては、清算価値で売る意味がありませんので、それに+αを求めますし、買収側としては投資回収を考えるため、実質営業利益の何年分という考え方に基づいています。

「時価純資産」とは帳簿上の純資産をさすのではなく、資産と負債を時価に修正し、その差額を指します。

「実質営業利益も帳簿上の営業利益を指すのではなく、節税分等を足し戻した、実力の営業利益を指します。

ちなみに、何年分みるかというのは、業界や経済状況にも左右されます。
リーマンショック前は3~5年と言われていた時期もございましたが、
リーマンショック後は2~3年で落ち着いているなというのがアドバイザーとしての実感です。

DCF法や類似会社比較法で評価しても、上記での算定額と近い数字に落ち着くことが多いので、面白いものです。

ちなみに、業界によっては、上記評価とは全く異なった評価するところもございます。
例えば、プロパンガス事業なら、契約戸×●円ですとか、自動販売機運営事業ですと、自動販売機の数×●円で計算されることがあります。

ただし、社会・経済的状況や、会社様・事業の個別的事情・背景などによってもかわりますので、あくまで目安として、ご参考程度にしていただけますと幸いです。