事業譲渡というM&A手法や、その実務についてのご説明
今回は事業譲渡の手続をみていきます。
事業譲渡とは
事業譲渡とは一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要な一部を譲渡するものです。そのため、会社分割では個々の権利義務について個別の移転行為を必要としませんが、事業譲渡の場合、個々の資産については個別の移転手続が必要となります。
<譲渡する側の手続>
事業の全部の譲渡、事業の重要な一部の譲渡のとき
(原則)株主総会特別決議
※反対株主には株式買取請求権が認められます。ただし、事業全部譲渡の決議と同時に解散決議をした場合には認めらません。
(例外)株主総会決議は不要
■一部譲渡のときに譲渡する資産の帳簿価格が当該会社の総資産の20%を超えない場合(株式買取請求権は認められません)
■譲受会社が特別支配会社の場合(反対株主には株式買取請求権が認められます)
※ただし、取締役会設置会社では、当該行為が「重要な財産の処分」にあたる場合には、取締役会決議が必要になります。
<譲受ける側の手続>
他の会社の事業の全部を譲り受けるとき
(原則)株主総会特別決議
(例外)株主総会決議は不要
■譲受対価が譲受会社の総資産の20%を超えない場合
(ただし、株主の反対が一定数に達した場合には、株主総会の特別決議が必要です)
■譲渡会社が特別支配会社の場合
※いずれの場合も反対株主には株式買取請求権が認められます。