合併・株式交換における問題点と注意点

040こんにちは、クラリスキャピタルです。

前回では株式譲渡、事業譲渡の契約書のポイントについて考えました。

その終わりに組織再編行為のうち合併、株式交換(株式移転も入るが、以下省略)における表明保証がこのスキームの場合、実質的には機能しないと書きました。

これは、合併、株式交換の場合、契約主体は合併・株式交換当事者であり、つまりは合併会社、被合併会社、株式交換子会社、株式交換親会社ですが、M&A後は一体の会社または完全親子関係になるため、実際は自らまたは身内に表明保証違反した場合の賠償・補償が実質的に機能しないためです。

そのため、実質的買主(例えば、対価を株式ではなく、現金とするときの現金の支払いサイド。以下「買主」。その相手側を「売主」という)としては株式譲渡や事業譲渡のように売主に表明保証してもらえないので、合併、株式交換スキームになったときに心もとないことになります。

039それでは、これにどう対処するかというと、「買収監査(DD)をより慎重に行いましょう」、というのが教科書的な回答となるわけですが、買収監査を慎重に行うのは株式譲渡や事業譲渡でも同じことです。

それならば、と合併、株式交換ではなく株式譲渡・事業譲渡のスキームでやれないか検討するわけですが、そもそも、債権者異議手続などを要する面倒な組織再編行為を行おうとするのは、株式譲渡・事業譲渡のスキームでは何等かの目的が達成されず、このスキームをとらざるを得ない、という事情がある場合も多く、大抵はそれも難しい。

そこで、一つのアイデアですが…

合併、株式移転契約とは別に、売主(支配株主)と実質的買い手にあたる会社の間で例えば、「本組織再編行為にかかる表明保証契約」等を締結することも考えられます。

056当事者の意思表示より、契約は成立するという民法の原則から、金融商品取引法などの法律に違反するような内容でなければ、契約は有効に成立すると考えられます。

(クラリスキャピタルがこのような表明保証契約の効力を保証するものではござません。各自のご判断と自己責任で契約は行っていただきますようお願い申し上げます)