M&Aを行う際には、それによりもたらされる効果・影響を考慮する必要があります。ここでは会社・事業を買収する側のメリットとデメリットを一部ご紹介いたします。会社・事業の買収を検討している方の参考になればと存じます。

買収側のM&Aのメリット

買収側のメリットは、M&Aの目的とも言い換えることができます。

✔ 有形、無形資産の獲得
買収により、ブランド、顧客、商圏、価値ある不動産・動産、人材等の獲得ができます。新規顧客の獲得や、商圏の拡大、製品のブランド化を実現するのは容易なことではありません。

また、人材の育成やスキルアップにも時間と労力がかかるのが事実です。この点、M&A買収によって、被買収企業の有形固定資産・無形固定資産を獲得でき、短期間かつスムーズな企業成長を実現できます。

✔ 時間を買うことができる
上記しました「有形、無形資産の獲得」に類似しておりますが、M&Aにより「時間を買う」ことができます。これは、M&Aの最大のメリットかつ最大の目的といえるでしょう。

例えば、新規事業の立ち上げには非常に時間がかかります。また、新規事業が利益を生み出す可能性は未知数です。

この点M&Aによって、既に顧客がついており、損益実績のある事業を買収することができます。損益実績が把握できるため、将来が見通しやすい点もメリットでしょう。

✔ 規模の経済の発揮
M&Aによる買収先が同業者の場合、規模の経済を発揮できます。例えば、管理部門の共通化やバイイングパワーが強くなることによる仕入コストの低減などのコスト減が可能です。

✔ 上流、下流の工程を内製化
買収により上流・下流の工程を取り込むことで、ワンストップサービスの提供が可能になり、コストの低減が可能です。

✔ 多角化経営
自社の事業が一事業や一顧客に偏っている場合には、買収により事業の多角化を実現でき、会社の事業・顧客ポートフォリオを形成し、リスク分散をはかることができます。

買収側のM&Aのデメリット

一方、M&A買収側のデメリットとしては、下記のような点が考えられます。

こういったリスクを想定し、M&Aのスキームの策定を行い、手当てできるリスクについては、事前の手当や対策を講じることになります。

・財務、税務、法務、ビジネスなどの買収監査において、見つからなかった簿外債務やリスクの存在がM&A後に顕在化するリスク

・譲り受けた会社、事業と自社の文化や従業員の感情的な衝突が生じ、経営に影響を与えるリスク

・M&Aにより譲り受けた会社、事業から人材が流出するリスク

・想定していたようなシナジーが得られないリスク